
タコスの歴史
その歴史は遡ること今からおよそ6,000年前。メキシコ中央高原の農耕集落の先住民が、携帯食としてトルティーヤを重宝しており、中にフリホーレス(塩茹でしたいんげん豆)や、チレ(唐辛子)などをはさんで食べていたことが、タコスの起源と言われています。
その後、トルティーヤを主食とするタコスを含むメキシコ料理はマヤ文明・アステカ文明と古代先住民族の食文化を支えていました。その頃は具材として豆や野うさぎ、七面鳥、そして昆虫をも包み込んでいたといいます。
1519年のスペインの入植後、元々メキシコにはなかった豚や牛、羊などが具材として使われはじめました。玉ねぎやニンニク、コリアンダーなどの野菜が持ち込まれると、さらにバリエーションに富んだ現在に至るメキシコのタコス文化を形成していきました。

TEX-MEX(テックス・メックス)の誕生
TEX-MEX(テックス・メックス)とは、19世紀、メキシコから近いアメリカのテキサス州で、メキシコ料理の影響を強く受けて発展していったメキシコ風アメリカ料理のこと。 私たち日本人がよくメキシコ料理だと思っているナチョス、ブリトー、チリコンカン、ハードシェルタコスなどはこれにあたり、実は本場メキシコ料理でないのです。
もともとメキシコ領土であったテキサス州は、1846年にアメリカに併合され、米墨戦争でメキシコは敗北したのですが、その後も、近隣であるテキサス州とメキシコでは人々の流入も多く、食文化も相互に影響し合い今日に至るなかで、TEX-MEXも発展を遂げてきました。
また、もう一つの特徴としてTEX-MEXのタコスはハードシェルタコスとして変化しました。 Uの字に揚げたパリパリのシェルにレタス、トマト、メキシカンシーズニングを加えた挽肉に、細切りに切られたチェダーチーズをのせています。 日本でもよく知られているスタイルですね。また小麦粉の白いトルティーヤにビーンズや豆、挽肉や米、サワークリームなどを包む「ブリトー」は、正式にはタコスではないので、お間違いなく!

日本にタコス(?)が渡ってきた!
一般的に多くの日本人がイメージするメキシコ料理はやはりハードシェルタコスやブリトー、ナチョス、トルティーヤチップスなどではないでしょうか?
日本にタコスをもたらしたのはアメリカ軍だと言われています。その為やはりTEX-MEXの影響がまだ色濃く残っています。 その中でも沖縄では戦後アメリカ軍の長い駐留の影響もあり、TEX-MEXからさらに独自の文化を形成しています。 1980年代、トルティーヤを日本風にお米に変更したタコライスはその最たるもので、タコスではありませんが、メキシコ式タコス → TEX-MEXのタコス → タコライスと二重に変化したタコスの派生形と言えるでしょう。
日本では本場メキシコ式のトウモロコシから作られる柔らかいトルティーヤを、その場で焼いているお店はまだまだ少ないのが現状です。